昔話2 ちくわと納豆

ちちおやには「やりたいことがある」と啖呵を切ったが、その後は何もしていなかった

朝、両親が仕事に出かけ、弟達が学校に出かけて一人になってから、ゆっくりと起きて自転車で出かける。
当時、唯一、遊びに行く場所だった商店街まで30分かけて行き、中古ゲームショップと古本屋を巡り、何も買わずにブラブラする。
当然だ。
何もしていない身では定期的に入るお金なんて無い。無駄遣いは出来ない
そして昼過ぎには自宅に帰る
そして、一人でご飯を食べる。
内容は、茶碗一杯のご飯、おかずはちくわを1本に醤油か、納豆を一パック。たまにキムチやたくあんといった漬物
何もしていないのだから、準備をして貰えるだけ有り難い。
ちなみに私は、ちくわやカマボコといった練り物がかなりの好物である。それに納豆は家族では私しか食べない。
つまり、納豆やちくわというのは、私の好物を考えての母親の配慮なのだ。
しかも私は、どうも食に対して妙な偏りがあるらしく、毎日のように同じものを食べても平気なのである。





午後は部屋に引きこもっている。
原稿用紙を前にぼーっとしている。或いは、ケント紙や厚紙を切ったり貼ったりしている。
そしてコンピューターゲームをずっとやっていた


全く何も出来ていない。何もしていない。
そう言われても仕方の無い日常である